私たちの血管腫 症状と治療

脳海綿状血管腫と「神の手」福島孝徳先生

 

こんにちは!「ちいでる」です。

 

この記事は、「神の手」との異名をとる脳外科医 福島孝徳先生に診察を申し込んだときのお話です。

 

ちいでるについて

  • 家族性多発性脳海綿状血管腫と共に、半世紀を越えて生きています。
  • 血がつながっている家族は全員、この血管腫を持つ患者。遺伝するタイプの血管腫です。
  • 血管腫は、大脳・小脳だけでなく、脳幹・脊髄・背骨にも存在します。
  • 東京大学の研究者に、遺伝子情報を提供しました。
  • 医療従事者を養成する大学や予備校で、20年間教鞭をとってきた人間でもあります。

 

 

 福島孝徳先生の診察を受けようと決断

 

 「神の手」福島孝徳先生とは

「神の手」の異名を持つ脳外科手術の権威と言われています。現在はアメリカの大学で仕事をされているそうですが、定期的に帰国され、手術や講演をしながら、精力的に日本を縦断する先生です。

他の病院では治療できないと言われた脳血管奇形や脳腫瘍などを治療。感謝と嬉しさで泣いている患者の姿は、テレビに何度も取り上げられてきました。

 

wikipediaによると

日本で初めて内視鏡を用いた脳外科手術をした医師

「鍵穴式」と呼ばれる方法で骨に小さな穴をあけ、顕微鏡を使って精密な手術を多数手がけている医師

とのことです。

 

 

 最後のセカンドオピニオンを聞きたい

脳海綿状血管腫があると分かって数十年。いくつもの大学病院で診察を受け、専門医の意見を聞いてきました。しかし見解は大体同じようなもので

 

  • 将来どの血管腫が大きくなるかは分からない。仮に1つを切除しても、別の血管腫が大きくなるかもしれない。数が多いので手術は現実的ではない
  • 脳幹にある血管腫を全部取り除くと、重い後遺症を引き起こすことになる
  • 手術するとしたら、「切除しないと命が危ない」と判断された時。それまでは経過観察するしかない

 

どこへ行っても結論は同じなんだから、運命として受け入れるしかない ― そんな風にずっと腹をくくっていたんです。なるようにしかならんわな、と。

 

ところが、このブログを見た人から、ある日メッセージが届き、考えが変わりました。

 

ちいでるさんは、福島先生の診察を受けたことはありますか? 私の子供は脳幹に大きな海綿状血管腫があり、切除しないと命にかかわると言われています。そこで福島先生に問い合わせたところ、日本の提携病院で診察を受けるように言われ、先日行ってきましたんです。その後、診察結果は福島先生に送られたようで、手術をしてくださるという返事が届いたんです。夢のようです。・・・ちいでるさん、さしでがましいことですが、もしまだなら、福島先生に連絡を取ってみてはどうでしょうか?

 

 

運命だと腹をくくるのは、「切除できません」と脳外科の神様に宣告されてからでも遅くない。

それに、ひょっとすると何か新しい情報を得られるかもしれない。

けれど、たとえ新情報を得られなくても、血管腫と一生を共にする決意をあらたにすることができる。

 

将来どんな身体になったとしても、「私は自分の身体のために最善を尽くしたんだ」という思いが、自分の心を支えてくれる気がしてきました。

 

福島先生のHPを検索し、診察の申し込み開始です。

 

 

 福島先生に診断して頂くまでの流れ

 

 先生のサイトから相談メールを送信

先生の公式サイトがあり、術式や手術歴やブログへのリンクが集められています。その中に「福島先生へのお問い合わせ」という項目があります。

その「お問い合わせ」ページを開いて出てくるのは以下の2つです。

 

  • 日本で治療拠点としている病院の名前と電話番号
  • 全てのメールに先生が直接目を通しますから、と書かれたメールフォーム

 

必要事項を記入の上 メールを送信。

メールは週に150通以上届くそうです。なので返事には数週間、場合によっては数か月掛かるかもしれないとのこと。急ぐ病気じゃないので、気長に待つことにしました。

 

 

 先生の秘書から先生の所見が届く

メール送信からたった3日後に先生の秘書からメールが届きました。さらに同日午後には、提携している日本の病院から電話が。想像以上のスピードです。

 

海綿状血管腫に関する先生のご見解を、秘書の方が伝えてくださいました。以下がそのスクリーンショットです。

 

 

私の海綿状血管腫は色んな所にあるので、脳幹の血管腫に限定して相談してみたんです。(脳幹とは、脳神経のほとんどが集結する場所で、生命維持機能をつかさどる大事な場所のことです)。

このメールによると、手術可能なのは、幹部から全摘出できるのは「限定的な場所にある小さいものか、脳幹の外に伸びているもの」

 

 

 診察前に準備するもの

病院からの電話では、以下の2点を指示されました。

 

  • かかりつけの病院から診療情報提供書をもらってくること
  • MRI等の画像を持ってくること

 

この2点がそろった段階で再度こちらから電話を掛けます。すると「何日に診察を受けたいですか?」と予約の話になりました。

「追加検査が必要だった時に備え、初診の患者は午前10時ごろには来てください」とのことです。

 

 

 診療情報提供書をもらう時の注意点

 

診療情報提供書の依頼にためらわない

「セカンドオピニオンをとるのは患者の権利だ」とよく言われますが、「セカンドオピニオンをとってきます」と言い出しにくいこともありますよね。先生が気を悪くしないか心配で・・・

でもここで引いてはダメだと私は思います。優先すべきは先生のご機嫌ではありません。命です。

 

もしどうしても言い出しにくければ。

 

家族や親戚が『セカンドオピニオンをとれ』とうるさいんです。将来体の機能に影響が出たら、家族や親戚の手助けが必要になりますので、怒らせるわけにいかなくて・・・。先生、何とかお力添えを頂けないでしょうか?

 

などとお願いしてみるのはどうでしょうか。

 

 

「転院扱い」にならないよう念を押す

「セカンドオピニオンを取りたいので診療情報提供書をお願いします」との申し出に、私を診ている医師は快く応じ、電子カルテにその旨を打ち込んでいました。

ところが、次の診察予約時に問題が起こりました。福島先生の系列病院に私は転院したことになっており、電話で予約ができない患者になっていたんです。完全な新患扱いってことです。診療情報提供書をもらってから戻ってきてくださいとのこと。

 

セカンドオピニオンを取りに行くことと転院は別物(だと患者の立場からは思うんです)。転院扱いにされないよう、気をつけて下さい。

 

 

 通院当日の流れ

 

福島先生の治療を受けたい人は、最初に提携病院で診察を受ける必要があります。提携病院は複数ありますが、どこへ行ってもいいわけではなく、電話予約の際に指定された病院のみです。

私が行った病院は一般的な総合病院で、福島先生関連の患者だけでなく、風邪を引いた人なども待合室に座ってました。

 

奥に特別な部屋がありますが、診察を受けるのはここではなく、一般の診察室でした。

 

 

 診察までの手続きは一般的な病院と同じ

窓口に提出したものは以下の3点です。

 

  • 診療情報提供書
  • 頭部MRI画像が入ってるCD
  • 健康保険証

 

提出すると問診票を渡されるので記入。あとは診察室に呼ばれるのを待つのみです。

 

 

 診察時の様子

持参したCD画像を見ながらコメントをもらう形式でした。追加検査はなかったです。

 

結論から言うと、私の多発性脳海綿状血管腫は、

  • 「切らないと命が危ない」時以外は経過観察。それしか方法がない
  • 脳幹に複数ある血管腫がどんな症状を引き起こすかは分からない。脳の神経がぎゅっと集まっている場所なので、血液がどの方向に流れるかによって、影響を受ける神経が変わってくるからだ
  • 脳幹へのガンマナイフもお勧めしない

 

うん。そうだよね。思った通りだ。私の最後のセカンドオピニオンはこれだ。すっきりした気持ちでお会計を待ちました。

 

 

 自費診療です

 

私は診察のみだったので1万1000円で済みました。返却されたCDを持って、あとは帰るだけ。

 

 

 

 脳海綿状血管腫と共存する決意あらたに

 

「新しい情報が得られるといいな」という気持ちもありましたが、「命が危なくなるまで何もできないってことは、壊れていく自分を見つめて暮らせという意味だ」と腹をくくりました。同じ病気の家族を何人も見てますから慣れてます。私の順番が回ってきただけのこと。それだけです。

 

デール・カーネギーが書いた名著『道はひらける』に、「避けられない運命には従え」という言葉があります。まさにこれです。

変えられない運命に抵抗してエネルギーをムダにするより、「いまの自分に何ができるか、何をやりたいか」に注力した方がいい。病人ならなおさらです、エネルギー少ないですから。

 

(この本と出会ったのは20代前半。強く冷静な心を養うのにとても役立ちました)

 

ということで、私のエネルギーの何割かは、このブログに使っていこうと思っています脳海綿状血管腫が遺伝した我が家4人分の記録から、この病気に関する論文へのリンクまで。同じ病気を持つ人のために情報を残していくことにします。

 

この患者ブログがお役に立ちますように。

 

 

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  • この記事を書いた人

ちいでる

家族性多発性脳海綿状血管腫を持つ、私たち家族4人分の闘病記です●母・兄弟・子も同じ血管腫で闘病。「家族性」つまり「遺伝性」です●私自身は、大脳・小脳・脳幹・脊髄・背骨に多数の脳海綿状血管腫があります●医学の専門的な内容に触れる際は、病院HPや医学論文にリンクを貼っています●医療系大学・予備校の講師として20年間教壇に立ちました。

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